top of page

これからオトナになる
みなさんへ

 編集部のゆーです。はじめまして!誰かにインタビューをして、話した内容を文字にするという作業を生まれて初めて体験しました。40年以上生きていても、未体験のことが、まだまだ世の中にはたくさんあるんですよね!今回の仕事では、思うようにできなくて苦しいこともあったけど、やっぱり初めての体験って、どきどき、わくわくするものだよね。若いから子どもだからできない、とか、大人だからうまくできる、とかってないんだなって思います。「自分が興味あることには思い切って飛び込んでみる!」というのが私のスタイルで、やってみて初めてわかることって想像以上にたくさんあるんです。新しく得た情報や知識、人との出逢いが、自分をどんどんアップデートしてくれてるって思います。 将来、自分がどんな大人になるとか、どんな仕事につくとかわからなくても、自分が興味あることを続けていたら、このガイドブックに紹介している「おもしろオトナ」たちのようになれるはずですよ。

unnamed-1.jpg
unnamed.jpg

 編集部のかようです、こんにちは。将来の夢はなんですか?と聞かれると、なにか答えなくちゃいけないのかなと思ってしまうかもしれません。でも、「今はわからない」も大事な答えです。今の自分を自分で尊重してあげてください。わからなくても、自分が楽しいと思うことや気がついたらやっていることなどを、自分でわかるようになるといいと思います。「自分はゲームなら夢中になれるな」、「おしゃべりを聞いてるのは楽しいな」など、日常のささいなことでいいと思います。でもいつかは「やりたいな」と思うことに出会えるといいですよね。人生が楽しくなります。学校やインターネットを通して誰かと出会えるように、仕事を通してもいろんな人と出会います。仕事は人とつながるきっかけになるので、私はそれが楽しいです。 

 編集部のノブくんです、訪ねてきてくれてありがとう。このガイドブックをつくるとき思い浮かべていたのは、「学校つまんない!」、「勉強面白くない!」、「将来の夢?そんなのないよー!」というのが本音の、10代のみなさんの顔でした。毎日が今よりもっと意味のあるものになったら嬉しいし、そして、「やらなきゃいけないからではなくて、やりたいからこの勉強してるんだよ」と言ってもらえたらもっと嬉しい。だって、人生は、みんなのためにあるんだから。この本が、自分らしい生き方とか、自分らしい仕事を見つけて、一歩を踏み出すきっかけになったら最高です。「楽しい!」とか「おもしろい!」と思う気持ちが最初にあって、「もっと上手になりたい」、「もっと知りたい」という気持ちにつながって、それで初めて「学びたい」という気持ちが生まれるんだと思うんです。だから、まずは自分が何にワクワクして、自分にとって何が喜びなのか、気づくところから始めてみませんか?

unnamed-2.jpg

なぜ、
人は働くのだろう?

 みんなにとって、仕事ってどんな感じですか?まだまだ先のことだと思っている人も多いかもね。実際、大人だって、「自分らしい仕事とか自分らしい人生ってなんだろう?」なんて、考えることはたぶん、そうそうあることじゃない。でも、なるべく早い段階で、自分について知ることは、これからの人生に役立つと思うんだ。

001.jpg
002.jpg

 ところで、こんなこと考えてみるのはどうかな。「なぜ人は働くのか?」日本国憲法では働くことは国民の義務だとされてるんだけど、なんでかわかる?1945年以前は、自分は働かないで、人が稼いだお金でもうけている人が今より多かったんだって。そのことで、いろんな問題があったから、新しくつくられた憲法では、働くことが義務になったそうなんだ。だから、突き詰めていくと、必要がなければ働かなきゃいけないってことはないみたい。勉強もそう。教育の義務は、正確には「大人が子どもに教育を受けさせる義務」であって、子どもにとって勉強することは義務ではなくて権利なんだよね。だから、勉強したくなければ無理にしなくてもいい、ってことになる。それを踏まえた上で、働くことや勉強することについて考えてみると、今まで気づかなかったことが見えてくるかもね。

 多くの人にとって、働くのは生活のため、言い換えれば、生活費を稼ぐためかもしれない。生きてくためには、食べものが必要だし、着るものや住む場所が必要だし、やりたいことをするためのお金も必要だから。もちろん、「お金持ちになりたいから働く」っていう人もいるだろうし、「有名になりたいから」、「すごいなーって言われたいから」、「自分を表現したいから」という人もいるでしょう。それから、「人の役に立ちたいから」とか、「この世に生まれたという証を残したいから」って考える人もいるだろうね。

003.jpg
005.jpg

 そこで思うのは、有名になりたいとか、自分を表現するとか、人の役に立つことって、お金を得るための仕事とはちょっと違うんじゃないかってこと。それは、趣味とか遊びの範囲のことかもしれないし、ボランティア的なもの、社会貢献活動的なものかもしれないよね。そう考えていくと、「仕事とボランティアと趣味と遊びの違いってなんだろう?」、「お手伝いと仕事はどう違う?」、「アマチュアとプロの違いってなんだろう?」という疑問が出てくるかもしれない。

 さて、ある登山家に「あなたは死ぬかもしれないのに、なぜ冬山に登るんですか?」と聞いた人がいたそうです。登山家はその質問に「そこに山があるからです」と答えたんだって。この話が伝えているのは、「なぜ?」に対して説明することはそれほど重要なことではなくて、「やりたい」という気持ちがあるかどうかが大切なんだということなのかもしれないね。

006.jpg

 このガイドブックの役割は、「やりたい!」と思える仕事や、自分らしい人生を見つけるきっかけになること。見つけるのはあなただし、見つけられるのもあなただけだということを忘れないでいてほしい。

仲程秀之さんDSCF7242.JPG

「仕事は社会的な価値の提供。他者の役に立つこと。たとえば絵は自分より上手い人がたくさんいるから、自分に出番はないというか、自分が描く必要が社会的にない。学生時代を振り返ると、机に落書きをしてたんですよね。初めは描きたいから描いてた。でもそれを見たクラスメートが「おおすげーじゃん、カッコいいの描いてんじゃん」って、ほめるわけですよ。そうするとモチベーションが上がってもっと描くようになるんです。それと同時に自分がやったことに価値があると、その時は思えたわけです」

あるある、
いろいろな仕事!

 世の中に何種類の仕事があると思いますか?実は、日本にある仕事の種類は17,000種以上。これは厚生労働省の機関が調べた数なので、実際にはもっと多いかもしれない。そして、世界には日本よりもずっとずっとたくさんの種類の仕事があるでしょう。多くの人は、周りの人から聞いたり、本で読んだり、ネットで見たことがある仕事しか知らないはず。その中から選ぶのも、もちろんありだとは思うけど、ピッタリだと思える仕事が見つからなければ、自分で調べてみたほうがいいかもしれないね。

 そうはいっても、何から手をつければいいかわからないよね。なので、ここでは、まず、仕事を8つに分類してみます。仕事探しの最初の一歩として参考にしてもらえたら嬉しいな。

※8つの仕事はまるっきり別の仕事ではなくて、重なり合ったりしています。楽しませる仕事は誰かをささえることもあるだろうし、場合によっては誰かを助けることだってある。このことは、覚えておいてほしいことの一つです。

楽しませる仕事

「人生は山あり谷あり」。昔の人はそう言ってたみたい。思い通りに進まないことが多いのが世の中だからこそ、喜びが欠かせない。毎日のがんばりをねぎらって、疲れをいやすためにも、楽しいことが必要になる。その時に活躍するのが人を楽しませる仕事。楽しませるっていうと、お笑いの芸人さんが思い浮かぶけど、楽しみをもたらしてくれる人は他にもたくさんいそうだよね。

☞お笑い芸人、タレント、エンターテイナー、マジシャン、ミュージシャン、ダンサー、ゲームの開発者、映画監督、俳優、映画館やテーマパークや遊園地で働く人、居酒屋で働く人、野球などのスポーツ選手、ユーチューバーなど

007.jpg
008.jpg

整える仕事

整える仕事は、人を楽しくする仕事や支える仕事、助ける仕事と少し重なる仕事かも。人をリラックスさせたり、イライラをしずめたり、心地よくしたり、前向きにしたり。おもに、心や身体を整える仕事が当てはまるよね。いろんなものをキレイにしたりする仕事、音楽とか香りに関わる仕事もそうだといえる。対象は個人だけじゃなくて、建物やその周りの環境や街なかや社会そのものも含まれるよ。

☞エステティシャン、アロマセラピスト、鍼灸師、整体師、もみほぐし屋さん、ホテルで働く人、酒屋さん、タバコ屋さん、靴磨き、塗装屋さん、スマフォの修理屋さん、電気製品や機械の修理工、自動車整備工、配電工、警備員、清掃員、公務員、政治家、研究者など

便利にする仕事

世の中はどんどん変化してるよね。みんなの親が中高生だった頃は、スマフォなんてなかったから、友だち同士でやり取りする手段はポケベルだった。その前は伝言ダイヤルでやりとりしてたし、もっと前は、駅前にある掲示板にチョークで伝言したいことを書き込んだりしてたんだよね。信じられる?技術の進歩だけじゃなくて、世の中の仕組みも、日に日に進化しているよね。そういう変化だけでなく、みんなが快適に過ごせるように日々の生活を便利なものにする仕事も合わせて「便利にする仕事」って言えるのかもね。

☞、技術者、エンジニア、化学者、発明家、司法書士、行政書士、不動産屋さん、弁理士、バスやタクシーや鉄道の運転手、飛行機のパイロット、デリバリー屋さん、研究者など

009.jpg

生みだす仕事

010.jpg

春になると桜が咲く。夏になると蛹を抜け出したセミが鳴きはじめる。花や虫や鳥たちは人の手助けなんて関係なしに(むしろ人の手は邪魔になることが多い)生命が生まれるけれど、人がこの世界で生きていくためには、人の手によって生み出されるものが不可欠なんだよね。食べものも、洋服も、電気やガスも、音楽も、スマフォも動画もみんなそう。

☞パン職人、パティシエ、料理人、工場で働く人、ファッションデザイナー、脚本家、小説家、芸術家、作曲家、作詞家、歌人、詩人、教授、建築家、木工や陶芸などの職人、大工、造園家、研究者など

育てる仕事

自分がこの世界に生きているのは、「お母さん」が産んでくれたから。そして、お母さんはそのお母さんやお父さんに育てられた。多くの動物と同じように、いや、他の動物以上に人間は、誰かに育てられないと、生きてはいけない。生まれてきた後に、育ててくれるのは親だけじゃない。保育士もそうだし、近所の人たちもそうかもしれない。そして、人によって育てられてるものは他にもある。たとえばみんなの食べ物になる野菜や動物や魚がそうだね。育てる人がいることで私たちは生きていられる。

☞保育士、水族館や動物園で働く人、農家、酪農家、畜産家、魚を養殖する人、林業に関わる人、植木屋さん、研究者など

011.jpg
012.jpg

伝える仕事

人と人はつながっている。どうしてつながっているんだろう。人と人をつなげているのは何だろう。みんながこの世に生まれ落ちて、成長するまでに、いろんな情報や知恵が大勢の人の手によって受け渡されてきたんだよね。親のこと、親戚のこと、友だちのこと、つき合っている人のこと、周りにいる人たちのことをあらためて考えてみると、なかなか不思議ですね。

☞教師、教授、アナウンサー、記者、レポーター、ライター、写真家、雑誌などの編集者、グラフィックデザイナー、イラストレーター、広告に関わる人、研究者など

支える仕事

「人はひとりでは生きていけない」。たぶんみんなも、今までに多くの人からそういう言葉を聞かされてきたでしょう。中学生とか高校生の年頃だと、「そんなことはない。自分は自分の力で生きていく!」と思う時もあると思う。特に、親が過保護だったり、先生があれこれうるさかったりすれば、反発するように「誰にも頼らず生きていく!」という思いが湧き出てくることがある。それは自然なことだと思うし、それはそれで大切なことだと思う。でも、実際、生きていくにつれて、「人はひとりでは生きていけない」と、ほとんどの人が実感するだろう。たとえば不登校の状態が続いた時、大人不信になった時、気持ちを打ち明けられる人がいたら、どれだけ心強いだろう。

013.jpg

☞助産師、看護師、保健師、介護士、介護福祉士、ケアマネージャー、児童福祉司、社会福祉士、心理士、カウンセラー、相談員、保護観察官、法務教官、猟師、漁師、お店で働く人、バスガイド、キャビンアテンダント、研究者など

015.jpg

助ける仕事

今までに人に助けられた経験を、たぶん多くの人が持っていると思う。ケガをした時、病気になった時、迷子になった時、危険な目にあった時。そして、死にたい気持ちになった時。誰かがあなたを助けてくれたはず。支える仕事と同じように、すべての仕事は誰かを助けているかもしれないけれど、人や動物や生きものを助けることを専門の仕事が世の中にはたくさんある。

☞ライフセーバー、救急救命士、消防士、警察官、海上保安官、自衛官、医師、獣医、樹木医、検察官、裁判官、弁護士、なんでも屋さん、研究者など

自分らしい仕事の
見つけ方

「世の中にはいろんな仕事がある」という前提で、次に何をしたらいいかを考えてみない?今あるたくさんの仕事の中から自分に合ったものを探すっていうのもありだし、世の中にある仕事を参考にして、新しい仕事を考えてみるのも面白いよね。そして、世の中にどんな仕事があるかは横においてみて、自分が好きなこと、自分が人より上手にできていること、自分がずっと興味を持ってきたことをもとにして、つまり、自分を中心において、それらから自分らしい仕事を考え出すのもいいかもしれないね。

image2.jpeg

「スケートボードに出会ってから、とにかく毎日夢中になって滑るようになったんです。そういうふうにスケートボードに取り組んでいく中で、自然にプロのスケートボーダーを目指すようになりました。プロスケートボーダーとして活動を続け、スケートボードの可能性の大きさを伝えていったり、追求していくこともプロの義務だとも考えるようになりました。まだまだ途中ですがスケートボードを通して世の中を変えていけたらと考えています」

「高校生の頃は、興味のあることが、絵、文章、写真、ファッションなどたくさんあって、将来の仕事として考えた時、一つに絞れなかったです。当時、大好きだったファッション雑誌にそのすべてが入っていることに気づいたんですよ。それで、雑誌を作る仕事がしたいと思い、雑誌編集を学ぶ専門学校に入学しました。結局、学費が支払えず、半年で辞めたので、ほとんど何も学んでいませんが、この選択が今の仕事のきっかけになったと思います」

image_6483441.JPG
とみた花子さんDSCF7176.JPG

1)アロマセラピスト/植物療法士の仕事について

「私は童話の中の魔女に憧れて庭で採れたハーブティを飲んでるような子どもでした。そのメルヘンに近いこととして現代にもセラピストや植物療法士という仕事があることを知り目指しました。本当にやりたい「魔女」のような仕事をしようと思えたのは、やっとこの数年です」

 

2)沖縄ヴィーガン協会の仕事について

「動物愛護のためのイベントを主催したことがきっかけです。イベントを定期開催するにつれ、関わる人が増え、社団法人化したり飲食店のサポートやセミナーや商品の販売などもしていますが、どれも目指していたわけではなくいつのまにかこうなりました」

「ソーセージが作りたい!と最初から思っていたわけではなく、社会に出ていく時期を迎えた頃「自分ならではの仕事」にこそ携わりたいと憧れていました。でも、すぐにはそれが見つからず、大学卒業後、結局就活なしで沖縄に戻ってきて『やばいな。乗り遅れたな』と思ったこともありました。その後、人とのご縁で飲食の世界に入り、その延長で「食肉加工」の技術と出逢い、5年間ほどの修行を経て、自分のお店を立ち上げました。もっと遡ると、学生の頃から漫画をすごく読んでいたから、自分の美学はそこから成り立った部分もあると思います。学校の道徳の時間よりもそこから得たものは多いと思うし、自分だって周囲から憧れられるような存在になりたいという思いもそこから生まれたかもしれないので。青春、友情、勝利みたいな、少年漫画のキーワードになっているようなものが自分の中でけっこう大事だったり…。それが、自分ならではの仕事をしていきたいという考えにもつながっている気がします」

嶺井大地さん_TESIO-26.jpg

見つからなければ
どうしよう?

今見つからなくても大丈夫だよ。中高生のうちにはまだ自分がやりたいことがはっきりは分かっていない人がほとんどだろうし、自分に向いていることや自分の能力にもちゃんとは気づけてないはずだから。見つからない時に、大事なのは、今の自分をよく知ること。なんとなく・・・のレベルだと、みんなもわかっているとは思うけど、じっくりと自分の分析をしてみたらどうだろう。「何が好きか」、「何にワクワクするか」、「何が得意か」に加えて、「人と一緒に何かをするのが向いてるのか」、「ひとりで何かをする方がいいのか」、そうやって自分を見つめてみるといいかもしれないね。

それから、動いてみるのも大事!いろんな大人に会ってみる、話を聞いてみる。それができなければ、観察してみるとか。家を一歩出れば、そこには働いている人がたくさんいる。自分の目で見て、心で感じていれば、ヒントが見つかるかもしれないよ。

 

ここで大事なことが一つある。自分がやりたいこと、自分が好きなことを仕事にするのか、それとも、自分に向いていること、自分が得意なことを仕事にするのか、それについてもいつか決めた方がいい。「仕事=自分が好きなこと」がいいという人もいれば、「仕事=自分ができること」がいいという人もいる。大事なのは、ある人にとっては仕事は人生の一部でしかないし、仕事以外の部分で自分らしく生きることだってできるということなんだ。つまり、仕事を考える前にどういう人生を送りたいかを考えることの方が大切だという人もいるということ。ただし、仕事について考えるより、人生について考えることの方が、多くの人にとって、たぶん、難しいはずだけどね。

 

それから、考えるときに、ちょっとだけ頭の隅っこにおいてほしいことがある。それは、みんながやりたがる仕事とやりたがらない仕事あるということと、自分のための仕事と人のための仕事があるということ、そしてその違いはなんだろう?ということ。そして、世の中には、カッコいいと思われている仕事とカッコ悪いと思われている仕事があるし、偏差値や学歴で仕事を決める人がいるということ。さらには、先輩に誘われてなんとなく始めたという人もいれば、親の仕事を継がなきゃいけない人もいるよね。そのことは果たしてラッキーなのか不幸なのか?それはやってみないとわからないことかもしれないけれどね。

最後にもう一つ。自分がやり始めた仕事が、最初の目的からどんどんズレていってしまうことが時々あるんだよね。子どもが好きで先生になったはずなのに、子どもに大人の価値観を無意識に押し付けてしまうとか、人を助けたいと思って始めた仕事が、いつの間にか人を苦しめる仕事になってしまったり。どんな例があるかピンとくる人もいるかもしれないけど、アンテナを張ってニュースを受け止めていれば、わかると思う。自分たちがそうならないように常に注意しておきたいね。

仲程秀之さんDSCF7241.JPG

「過去の自分にアドバイスをするとしたら、一つあります。とにかく試しに商売をやってみることです。『なんでもいいから売ってみろ』って昔の自分に言いたいです。絵を描いてるんだったら絵を売ってみる。肩揉みが好きだったらそれを売ってみる。何か技術があればその技術を売る。皿洗いでもいいし、海で拾ってきた石を売るのでもいい。金銭感覚を身につける効果もあるけど、それだけじゃないんですよ。誰かに価値を提供する経験をやったことがあるかどうかで、その人のなかに圧倒的に差がでるんです。中高生からその経験をしてたら、将来すごくプラスになると思います。自分が生み出せる価値ってなんだろうって考えて、試すことは大事なんです。価値は他人が決めるものだと思っているので」

大きな本屋やドンキホーテのような色んなものが雑多に並んでるようなお店に行くといいですよ。普段自分と接点がない商品やジャンルと出会うことができますから。視野を広げるのに最適です。なるべく自分の足で、お小遣いを握りしめて、例えば500円持って、使い切るチャレンジをするとか…。限られた条件で買い物するという行為は、選ぶ力を育むことにもなるし、セレクトする力は自分にぴったりな仕事を見つける上でも、そして、実際に仕事をする時にも必ず役に立つはずですから」

中村卓矢さんDSCF7204.JPG
とみた花子さんDSCF7181.JPG

「自分がどういう人になりたいか、何をするのが楽しくて、どう生きるのが幸せなのかは真剣に考えた方がいいと思うよ。でも、どんな仕事がいいのかは、今急いで考える必要はないよね。なぜかというと、みんなが大人になった頃には、今はない新しい仕事が生まれているはずだから。だから、今ある仕事だけから選ぶことにエネルギーを注ぐより、自分が好きなことをして、何が好きなのかいっぱい考えるといい。それで、結果それが仕事につながればいいし、仕事につながらないとしても、楽しく生きていられたらそのほうが幸せなんじゃないかな。そのためにも、図書館とかお店とか、いろんな発見をリアルな場に取りにいくのも大事だし、なにより、いろんな人に出会うことが一番大切なことだと思います」

見つかったら
どうすればいい?

自分らしい仕事が見つかったら、それは幸運なことだと思ってほしい。そして、「よくやった」と自分をほめてほしい。それから、見つけた自分を大切にしてほしい。

やりたいことが見つかったら、今まで意味を見出せなかった勉強が違ったものに見えるかもしれないね。興味が持てなかった学校の勉強の中に、自分らしい仕事に必要なことが見つかるかもしれない。人から言われたからやるっていうよりも、自分がやりたいと思うからやる方が、いろんなことが身につくし、そこからまた何かが始まるかもしれないよね。

その次にどうしたらいいだろう?その仕事について色々調べるのもいいし、その仕事をやってる人に会いにいくのもいいし、実際に仕事をしてみるのもいいかもしれない。実際に動いてみることで、やってみたい気持ちが強まるかもしれないし、今の自分に何が足りていないのかが見つかるかもしれないし、新しい発見があるかもしれないし。ひょっとしたら、「やってみたい!」という気持ちが色あせてしまうかもしれないけど、それはそれでいいと思う。その時は、また、やり直せばいいんだから。

平仲稚菜さんIMG_9891.jpg

「この仕事に就くためにこれまであれこれ準備してきた、という感覚はありません。ただ、根底にある考え方が「子どもを苦しめる大人になりたくない」だったので、自分が関わっていて嫌だなと感じる大人に出会うと、「何が嫌だったのか」「どうしてほしかったのか」などを振り返って。反面教師として具体化する作業を繰り返してきました(笑)。可愛げのない子どもでしたね。それと、これは準備というより、どの仕事にも必要な要素かと思いますが、自分の行動や考え方や言動を振り返ること(内省すること)を常に心がけています。内省と改善を繰り返すことで、自分がつくるプログラムの完成度も質も、他者からの評価も上がるし、働いていて楽しくなります。スキルはやりたい仕事が見つかれば、そこに向けて身につけていけばいいですし、仕事に就いてから習得していくこともできるので、思考する力を高めることが準備なのかなと思います。私はそういう試行錯誤できる人たちと一緒に仕事したいですね! 」

「プロスケートボーダーなので、スケートボードが上手いのは当たり前。それ以上に大事なのは行動力。とにかく色々なところで色々な人に自分を見てもらい、知ってもらうことが必要です。プロとしての活動には、スポンサーやメディアなど色々な立場の人との関係性で成り立っている部分もあります。コミュニケーション力や距離感などのバランスなど、常にアンテナを広げ、広い視野で物事を考えることが大事です。そして1番は個性。自分らしく正直でいられれば、おのずと個性はにじみ出てきます。その個性を周りの人に受け入れてもらえるかどうか。憧れられる存在にならないといけないのがプロスケートボーダーだと考えています。個性や考え方で人を魅了できるような存在を目指すことがプロスケートボーダーへの近道だと思っています」

image2.jpeg
image_6483441.JPG

「その時々の自分が感じる『好き』や『ドキドキワクワクする』に、自分が意識的になって、自分の中にどんどん抱えては、それを言葉で表現する、写真を撮る、何かを作る、文字で書く、絵にする、SNSに投稿する、ファッションとして身に着ける、部屋を飾る、庭も飾るなど、他人に伝わるように、自分の世界をカタチにして表現するのがいいのかなと思います。表現することも、カタチにしたものを人に見られることも、訓練にもなります。それだけでなく、あなたの個性を必要としている人が、あなたを見つけやすくなって、仕事のきっかけにつながりやすいかな、とも思います」

「ソーセージ店を営む事を決めた当時、それを実現する技術がなかったので、県外でソーセージ屋さんの門を叩き、学ばせてほしいと頼み込みました。その時は師弟制度の中だったので、人権が無いに等しかったです。そこから5年ほどを費やして技術を学び、物件を探したり融資を受けたり、家族や友人にソーセージを食べてもらったりと開業の準備をしました」

嶺井大地さん_TESIO-23.jpg
大湾朝太郎さんDSCF7254.JPG

「写真家の中には写真の学校に通って、卒業したらプロカメラマンのアシスタントをやって、それから独立するっていう人が結構いますけど、自分の場合は、独学でした。仕事についてからは現場で先輩に教えてもらいながら、技術を磨きました」

※このガイドブックは公益社団法人金秀青少年育成財団の助成を受けて制作されました。

bottom of page