大湾朝太郎さん
フォトグラファー
[自己紹介]
○家族 妻、長男(15)、次男(8)
○おもな仕事
県内の雑誌「ポルト」
県内の私立中高等学校、大学、専門学校のパンフレット撮影、また1年前からプロモーション(広告)動画の依頼が増え、動画も撮るようになっている。
○子供のころ
[小学生]→うっかりぼんやりし過ぎて、友だち作りがうまくいかず。不注意で骨折4回。勉強が苦手で音楽発表会のリコーダーは吹いているフリで良いと先生に言われるほどだった(笑)
[中学生]→バスケ部に入り、仲間が出来たことで社交的になる。生まれつきの心臓病にもかかわらず、両親が伸び伸び自由にさせてくれた。
[高校生]→北谷高校。部活はせずアルバイトや交友関係をさらに広げる。友人からアート的な刺激をたくさん受け、興味を持ち始める。
卒業後、アメリカ遊学を経て県内の写真同好会に入ったのをきっかけに、色々な出会いがあり、現在までカメラの仕事を続けている。
◆大湾朝太郎さんのInstagram https://www.instagram.com/chotaroowan/
interview
Q学校はどんな場所でしたか?
勉強は苦手だったし、友だちと遊ぶために行く場所でした。小学校まではどちらかというと陰キャで、グループ決めの時に最後まで残るタイプでした。中学からはバスケ部に入って、学校生活が充実してきましたけどね。
Qお気に入りの居場所はありましたか?
中学生になってから、自宅の2階が自分の部屋になったんです。自由に使えて、よく友達も遊びに来てたので、そこがお気に入りの場所でした。
Q中高生の頃、目標にしている大人いましたか?
うーん、特にはいなかったですね。深く考えるタイプではなかったので、「将来こういう生活をしたい」とか、「こんな大人になりたい」とかも考えてなかったです。高校生になっても将来の夢は特になかったですよ。「アメリカに行ってみたい」というレベルのやりたいことはありましたけど。そういうこともあって、周りの大人に対して、関心がなかったんでしょうね。ただ、尊敬できる人はいましたよ。それは母でしたけど、母みたいになりたいとは思う存在ではなかったです。憧れの存在は大人ではなく、同級生でした。
Q中高生の頃、不満や悩みがありましたか?
友だち付き合いは楽しかったし、部活の仲間とも仲がよかったです。小学校から高校まで割と一緒だったし、友だち関係には恵まれてました。だからかな、悩みがあったのかどうか覚えてないんです。
Q今の自分と中高生の頃の自分で大きく変わったことはありますか?
自分を評価するときに、人と比べるタイプなんだということに、20代になって気がつきました。今もそうですけど、誰かものさしにして自分をはかります。中高生の頃はあんまり意識してませんでしたけど…。占いで座禅というキーワードがよく出てくるんですが、自分を見つめることが必要なんだと思ったりもします。それから、自分は、いいことが起こっても、悪いことが起こっても、動じないんです。これもあまり変わってないですね。生まれつき心臓に問題があって3歳の時から、何度か手術をして、運動制限があって体育も見学することがあって…。そういうことが影響しているんだと思います。「大変だったね」と言われることがあるけど、大変だと思ったことはないですね。大人になって大きな手術をして死にかけたこともあったけど、「起きたことは仕方がない」と受け入れてます。
Qこの仕事を選んだきっかけは?
高校生の時にポラロイドカメラをフリーマーケットで買ったんですけどね。それにハマったんです。友だちを撮ったり、学校の中でいろんなものを撮ったり…。卒業式の時はビデオを回して動画を撮りました。写真以外にも好きだったことがありましたね。拾ってきたもので立体物を作ったり、アクリル樹脂を使ってアクセサリーを作ったり…。周りには絵を描いたりするアート系の友だちがいて、その影響もあったんでしょうね。ちなみにその子は、カナダに移住して絵描きになって今は大学でも教えているはずです。
Q中高生の頃、今の仕事を想像してましたか?
高校生の時は写真で食べていこうとはまったく思ってなかったです。進路についてもあんまり考えていなくて、ただ毎日が楽しくて、学校で遊んでたんです。結局、進路を決めないまま卒業を迎えました。卒業して数ヶ月、アメリカに住んでいるおばさんのところに遊びに行って、語学学校に通ったんです。そこではロシア人やイスラエル人のクラスメートから色々刺激を受けましたね。アメリカから帰ってきた時に、さあ、どうしようかなって時に、写真をやるか琉球ガラスの職人になるか迷いました。たまたま履歴書を出したブライダルフォトの会社が採用してくれることになって、それで写真の世界に入りました。
Qやめようと思った仕事を続けられているのはなぜですか?
最初に勤めたブライダルフォトの会社を5年くらいで辞めた時に、『ハンズ』っていう沖縄を代表する雑誌がたまたまカメラマンを募集していたんです。縁があってそこでアシスタントをやったんです。写真のこと、雑誌のことを編集長から色々教えてもらいました。しばらくして、写真以外の仕事に移ろうかと思うようになったんですね。編集長にその話をしたら、「もうちょっとがんばったほうがいいよ」と引き止めてくれて…。そういう人は他にもいたんですね。だから写真を続けられています。自分の力だけでなく、応援してくれる人がいて引き止めてくれたり、背中を押してくれたりしたことが大きいです。
Q 仕事で大事にしていることは?
コミュニケーションですね。被写体との間でいいコミュニケーションが取れていないと、いい写真は撮れないんですよ。商業写真を撮る場合は、クライアントがいて、デザイナーがいて、チームで仕事をするわけなので、コミュニケーションはより重要です。正直、写真はシャッターを押せば誰でも撮れるんですが、みんなが固くならないでリラックスできるように、場の雰囲気を整えると、いい写真が撮れるんです。若い頃は、「写真は撮る人間のテクニックで決まる」思ってましたが、いい表情を撮れるかどうかは、テクニックじゃなくて、心地よさを生み出せるかどうかで決まるんです。そのためには会話が大事です。報道写真の場合はまた別ですけど…。
Q人生の中で仕事が占める割合は?
フリーランスだから仕事のウェートは大きいですよ。お金を稼ぐ手段以上のものだし、生活の一部になってますから。自分の場合は、写真を撮ってるか、家族と過ごしているか、どっちかです。どちらかと言えば、仕事を優先しているかな。
Q仕事に必要なものは何ですか?
瞬間を見逃さないための瞬発力ですね。一秒遅れてしまうと、もう撮れないという瞬間がありますから。それから、何年も仕事を続けていると、技術も知識もついてきて、小手先で仕事ができるようになるんです。でも、小手先仕事では本当にいい写真は撮れないないですからね。だから、適当な仕事をしないように、いつも初心者の気持ちを忘れないようにしています。
Q仕事以外で大事にしてること、熱中していることはありますか?
息子とドライブに行くことです。次男は発達障害なので、長男よりも手をかけています。息子は窓からの眺めも車の振動とか乗り心地も好きなんですよね。仕事がら観光雑誌が家にあるんですけど、それに載ってる写真を次男は覚えていて、ドライブに行った時に写真にあった建物やスポットを見つけるのが楽しいみたいです。あとは、車をヤフオクで探して、乗ってる自分を妄想したりすることですね。古い車が好きで、今のもその前のも、ヤフオクで見つけたんですよ。それから最近は、野菜スープ作りとか、発酵食品作りにハマってます。去年入院したのがきっかけになったかな。植物は前から好きだったけど、食とか健康とか自然に興味が出てきたのはここ一年くらいのことです。腸内環境がいいとメンタル的にも健康になるみたいな話とか…。あ、焚き火も好きです。焚き火を眺めながら男同士で語り合うのも楽しいですよ。
Q自分らしく生きるためには何が必要だと思いますか?
よく言われることですが、「自分に正直でいること」ですね。あとは、他人をよく見ることかな。他人は自分を映し出す鏡だから。自分を知るために、自分の外に意識を向けることって大事だと思うんです。自分探しをするにしても、自分はここにしかいないわけですよね。ここにいる自分を自分が探すしかない。そのときに、他人が自分の行動を受け止めてどう反応するかを知ることで、自分を理解できることが結構あるように思うんです。
※このガイドブックは公益社団法人金秀青少年育成財団の助成を受けて制作されました。