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嶺井大地さん

ハム・ソーセージ職人

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[自己紹介]

1984年生まれ。立命館アジア太平洋大学で学び、様々な文化、価値観に触れる。

卒業して尚、夢や、やりたい事がまるで見つからず、「空っぽの自分」に愕然としながら、自分が一体「何が好きか」「どう生きたいか」を模索しながら寂しい5年を過ごす。

27歳の頃、京都でソーセージづくりの現場に携わり、「自分が本当にやりたい事はこれだ」と強く感じる。

静岡の老舗のソーセージ店を訪ね、弟子入りし、3年半厳しい修行の日々を過ごす。

2017年、自身のお店である

自家製ソーセージ店「TESIO」(テシオ)をオープン。

2019年には本場ドイツでされるソーセージの世界大会IFFA(イーファ)に出品し、沖縄県では初となる最高評価、ゴールドメダルを獲得。

夢を見つけた頃にはおじさんになっていたボクが、今、何を想って日々暮らしているか、じっくりお話出来たらと思います。

◆TESIOのホームページ https://tesio.okinawa

 

interview

Q子ども時代はどんな子でしたか?

ぼーっとしていた気がします。社宅に暮らしてて、近所のお兄さんとか同級生とかがいて、野球のルールとか流行とかいろんなことを知ってて、「なんでこんなに知ってるんだろう」って思っていたんです。そういうのに自分は鈍くて、わりと教えてもらう側だった気がする。「その子がいると場が仕切られている」みたいなお兄ちゃん的な人に、ちょっと憧れていた気がします。

 

Q学校はどんな場所でしたか?

行かなくてはいけないから、無理に早起きをして行く場所でした。あまり覚えていないけれど…。でも学校にいる時に、不自由はなかったです。友人もいたし、行けば楽しいという感覚もあったから。でも、朝、行くのがおっくうだなという感覚もあった。だからなのか、TESIOを始める前までは、「思うままに暮らしてはいけないんだな」という感覚がありました。

 

Qお気に入りの居場所はありましたか?

あったはずなんだけど、あまり思い出せないです。よかった記憶はところどころで浮かぶし、たくさんあったのだと思う。でもなんとなく、それはひとりきりですごせる場所でしたね。家族がそろうようなことがなかったから、ひとり遊びをしたり、自分だけの世界にひたっている時間だったような…。自分の体の内側から自分を操縦していて、目を閉じると、僕は僕っていう容れ物の中に完全におさまることができるし、子供の頃も、目を閉じたり、耳を塞いだり、外側のことを遮断して、逃げ場みたいなものを自分でつくれていた気がします。

 

Q中高生の頃、目標にしている大人はいましたか?

いなかったはずはないんだけど、考えても思い出せないから、いなかったのかもしれないですね。「憧れる人に出会えた」と、はっきり思えるようになったのは、TESIO始めてからかな。「あの人だったらどうするかな」って考えるようになりましたね。子どもの時って、不良だろうがなんだろうが「かっこいいな」って思える人とか、有名人とか、ただ単に、感覚的なレベルではいたかもしれない。でも、今は憧れる理由を言葉で説明できます。

Q中高生の頃、不満や悩みがありましたか?

なかったと思います。人間関係とかも、友だちは多くないけど、わりと目の前にいるやつとふざけて、その場をやり過ごすとか、できるタイプだった気がします。先生に対しても、「どうやったらかわいがってもらえるかな」って思いながらやるタイプだったかな。でも、下校する時は一人だったし、お昼は一人でどこかでお弁当食べたりって感じ。わずらわしいとかさみしいとか不安とかはあまりなかったです。家はグチャグチャだったけど、不自由はなかった気がします。

Q今の自分と中高生の頃の自分で大きく変わったことはありますか?

昔は多動気味だったかもしれないです。動きたいっていう衝動をおさえられないから、動いちゃう。でも今も、それは同じ気がします。主張したがるところとかも、変わらないかもしれない(笑)。「こう思う」とか、「絶対こっちがいいと思う」とか、ディスカッションしたがるところはあった気がします。周りに人が増えたし、触れ合える人が増えたから、「自分のほとばしるものを誰かの役に立てたい」みたいな気持ちを持つようになったかもしれません。これは学生の時はなかったと思います。そういう、誰かの役に立てるかもっていう、そんな力がちょっとついてきたんじゃないかなって、僕自身がちょっと思うようになりました。

Q仕事で大事にしていることは?

味のこだわりとか、工場長的な存在はTESIO4年目になる仲間が今や担ってくれてます。だからこれからは、もっともっとドラマを作っていきたいです。仕組みとか理屈以外のことが折り重なって人生の濃密さが決まってくとしたら、濃く濃く生きたい。自分の中で大事にしているものがなんなのかということを、絶えず確認しながらふくらましていきたい。そこに共感できて通じ合えるような仲間をずっとつくっていきたいし、そこが大事と思っています。

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Q人生の中で仕事が占める割合は?

100%です。人生の中に仕事と趣味、暮らしがあって、それが明確に分けられない暮らし方をしています。見るもの触れるもの全てがTESIOに直結しています。考えないといけないことが増えて、自分だけのことじゃなくてスタッフたちのことを守っていかなきゃ、など責任も大きくなってきたけれど、苦ではなく楽しいです。

Q仕事以外で大事にしてること、熱中していることはありますか?

人生って、ドラクエのように、とにかくいろんな村人ひとりひとりに、話しかけていかないと物語が展開していかないと思う。建物の外に出ただけでは、物語は始まらなくて、ひとつひとつつぶすように話しかけていかないと何も展開しない。結局勇者にはなれない。仲間もできない。いつまでも、村の外の魔物におびえて弱いままということになっちゃう。でも僕は、外に出てアドベンチャーに暮らしていきたいということなのかもしれないです(笑)。

Q自分らしく生きるためには何が必要だと思いますか?

自分らしく、というのと、自分の思うままに、というのはまったく違うと思っています。人が好きだし、自分の喜怒哀楽をしっかり表現して、ストレスを抱えずに明るいところを目指していきたいというのが自分の性質だと思っています。それを希望として持ちながら、社会人として生きていたい。「自分らしい生き方」を仕事の中で表現する必要はないと思います。でも、自分が活かされてる、と感じながらの仕事は楽しいものです。

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※このガイドブックは公益社団法人金秀青少年育成財団の助成を受けて制作されました。

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