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小泉ゆりかさん

彫刻家

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[自己紹介]

私が芸術の道に進もうと思ったきっかけは、自身の学習障害にありました。私は読み書きの学習に苦手を持っていて小中学生時代はなかなか勉強についていくことに苦労していました。そんなときに、自分の得意を生かす生き方として選んだ道が芸術でした。このイベントに参加した理由は、子供たちに、苦手があっても得意なことで生きていけばいい、皆違っていいと伝えたかったからです。私もまだ学生で、自分の得意なことで生きている段階ではないでが、皆さん一緒に頑張っていきましょー!彫刻の魅力についてもお話ししますのでよろしくお願いします!

interview

Q学校はどんな場所でしたか?

小学校と中学校は行かないといけない場所という感じでした。楽しいこともなく、座って授業を受けるのがしんどかった。本人の特性に合わせて、形だけじゃないものを、もっと提供してほしかったなぁ。なんでそれがダメなのかわからないことや、道理の通らないことでも規制されていたのも辛かったですね。でも高校では、特に2年生からは自分のやりたいことを選択できたので、自分のためと思って行ける場所になりましたよ。

 

Qお気に入りの居場所はありましたか?

家の庭がお気に入りでしたね。もの考え(考えごと)をする時はそこにいた気がします。田舎だったので、庭から山が見えて…。当時はネガティブで、気にする性格だったので、何かあると嫌なことや不安なことで頭がいっぱいになったんです。そんな時に、ひとりで山に落ちている雲の影をずっと見ていたり、夕焼けを見たりしていたような。高校に入ってからは家の庭に加えて、美術室やデッサンする机もお気に入りの場所になっていたような気がします。

 

Q中高生の頃、目標にしている大人はいましたか?

ところどころで、「この考えを参考にしよう」というのはあったけど「目標にする人」はいなかったなあ。参考にしようと思ったことで思い出すのは、小学校5年か6年の担任の話。その人ゲームで遊ぶのが好きで、「人生もゲームみたいに生きよう」、と言って何か嫌なことあっても、経験を積んだと思って進もう、みたいな。なるほどなーと思いました。そういう感じで、身近な人のいいと思った部分を参考に、ということが多かったかも…。

 

Q中高生の頃、不満や悩みがありましたか?

いま考えると、勉強で子どもを評価するのが大人で、大人に評価されないといけないという気持ちもあったなぁ。「意味のないこともやって見せないといけない」と思う自分がすごくしんどかったし、子どもにそう思わせる大人に対して、不満があったのかもしれない。大人の言う「いい子」っていうのは、大人が扱いやすい子どもであって、それが子どもにとっての「いい子」なのか、というところを考えると不満がありました。

Q今の自分と中高生の頃の自分で大きく変わったことはありますか?

小中学生の時、めちゃくちゃ病んでました。周囲の大人は私が勉強とかできないってわかっているんだけど、周りの子はわからないし、自分が周りの子と比べちゃうし、できないことがつらかった。でも、真面目だった。まじめにしていたら、評価されたから。でも今は、特に大学3年生以降、病み期が終わった感じがします。人のこと気にしないでいいって、心から思えるようになったから。それから、人と関わるときのスタンスが変わったかな。相手にどう思われてもいいから、素で話そうと思うようになりましたね。合わない人とは合わない。そう思えるようになったんですよ。それは大学の3年~4年くらいの時で、変化は彫刻作品にも現れています。

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Qこの仕事を選んだきっかけは?

学習障害の一つでもある読字障害があったんです。書かれている文字を普通の人ができているようにまとまりで読んだりすることが難しいという障害です。書かれている文字を見ると、バラバラなままの文字がいっぺんに目に入ってきて読めませんでした。当然勉強にも影響がありました。だから、得意なことで生きていこうと考えるようになったんです。もともと物を作るのが好きでよく粘土などで遊んでいたんです。高校で彫刻が専門の先生に出会い、興味を持つようになって彫刻の道に進みました。

 

Q仕事につくためにどんな準備が必要ですか?

自分が見たもの、きれいだと思うものを信じることだと思います。たとえば、木がきれいだな、空がきれいだな、この色がなんかいいなとか、形がいいなとか。何かを手に入れたり作ったりすること以上に、自分が見るものを信じてきれいなものを見つけつづけること。それの繰り返しが大切だと思います。また、他の人と違うということをおそれないこともだいじ。もしだれかに「こっちがふつうだよ」とか言われても、それが大事な時もあるかもしれないけど、でも自分はこう思う、ということを大切にすること。

 

Q仕事で大事にしていることは?

彫刻は、何日もかけて掘っていくんです。寂しいときの人の顔とか、どうしようもない闇のときの気持ちとか、どう表現するかというのを考えながら。こだわりは作品によって違うところはあるけれど、感情や内心を表現しようとしている事は統一しています。

Q人生の中で仕事が占める割合は?

つい先日の3月に大学院を卒業したばかりということもあって、彫刻が50%で、残りの50%は生活とか他のやりたいこと、自分の経験値をあげたいという感じです。これからしばらくは人生経験をさせてもらうっていう思いです。社会の人と関わる中で勉強ができたらなっていう思いがいっぱいです。

 

Q仕事に必要なものは何ですか?

彫刻の道具は、自分で集めて手入れしています。げんのう(カナヅチ)だけでも何種類かあって、細かいところ彫るときのものと、大きく深く掘っていくときのものでも違っていたりします。すり減っちゃって具合がよくないけど、使いやすいから手放せずないっていうのもあります。

 

Q仕事以外で大事にしてること、熱中していることはありますか?

仕事がまだ始まっていないけど、とにかく経験を積めたらいいなって思ってます。一生ひきこもっていたいという自分もいるけど、そうはいかないので、むりやりにでも、仕事で誰かと関わって、人の話を聞いて、相談して…というような経験が自分の人生にはとても必要だと思ってます。

Q自分らしく生きるためには何が必要だと思いますか?

自分のことも、他人のことも、短所を見すぎず、すごいと思うところを見るようにすること。いろんなことに対して「きっとどうにかなる」と信じること。他人の夢を否定しないで、実現できる策を一緒に考えたり、その人の自分らしい生き方を応援すること。

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※このガイドブックは公益社団法人金秀青少年育成財団の助成を受けて制作されました。

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